こんにちは。
このたび、webサイトを新設しました。
おかげさまで、大原大次郎/omommaは、2003年の独立から15周年を迎えました。
2007年に作成した旧サイト omomma.in は、制作物を整理してまとめた倉庫的な役割というよりも、むしろその制作過程や取りこぼされたものを拾い上げていくような、未整理の机の上や、生々しいノートのような場所として位置づけて、日々の手遊びや手探りを記録する気持ちで書き連ねてきました。
手遊んで、手探って、手書く。
手遊びは、娯楽や遊戯的な意味合いよりも、例えば木材の変化や特質を考慮した大工さんによる継ぎ手・仕口の遊び(ヌスミ)や、ギターの弦のテンション、スケボーのウィールの締め具合、車のブレーキの踏み始め、バッグやスーツケースの持ち手、ペンの軸と芯の微細な遊びのような、設えられた余白や隙間たちを指していて、その遊びの空間には知恵や機能や美が宿っている。…んじゃないかな、と感じる。
すでに宿っているというより、想起や縁起の起点となる器のような空間。遊びの空間=「遊間」って言葉もあるようですね。いい言葉。
遊びは精密なデータからも探れるだろうけど、おそらく手探りでないと探れないものもたくさんある。具合や塩梅や調子のありよう。体感する遊間。あちこちに暗号のような状態で散らばっていたり、埋まっていたり、おばけみたいに漂っていたり、ふと目があったりする。未知なものや知っていることを知らないような状態にして、あらためて手で探り直す。もちろん必ずしも手でなくてもよくて、身体のあらゆる部分を割って割って、耳でも、足でも、内蔵でも細胞でも、どこでも。耳探り、足探り、細胞探り。探求眼、探検心、探知舌、探究おなか。
新設サイトは新居というよりも、なじんだ机や道具を持ち込んだアトリエのような場所です。展覧会やワークショップなど、手遊びと手探りの基礎となっている研究と成果はProject〈基礎〉。仕事のリストはWorks〈生業〉にまとめ、今後、文や絵を書く場所となる場所はここ、Note〈手順〉になります。
タイミングを同じくして、長らく三軒茶屋に構えていたアトリエを、葉山の海の近くにある屋根裏部屋のような、秘密基地のような小さな場所へ移転しました。こちらはまだまだ準備中ですが、みなさまへ、なにかしらの形で開ける空間にできたらと考えています。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
暑い日が続きますが、どうぞご自愛ください。
大原大次郎